気がつけば、私は一人街を歩いていた。


心配する美幸と、強引に別れてから数時間経つ。


辺りはすでに真っ暗でクリスマスイブらしく、街は、カップルでいっぱいだった。


そんな中、私は一人あてもなく歩く。


頭の中で、何度も繰り返している言葉。


彼は、誰なの?


後で分かった事だが、修平君の言っていた通り入口近くの一番隅に座っていたのは、女の子だったらしい。


そして、改めて気づく。

私が部屋に入って人数を確認した時、制服を来た男の子が5人いたことを。


人数を確認したら、確かに10人だった。


それは、私自身が最初に確認していたこと。


だったら、彼は?


私に、コーヒーを頼んだあの人は誰?


確かに私は見ていた、彼がコーヒーを飲んでいるのを。


ずっと、見ていた彼は、確かに、あの場所にいたのに………。


あれ?


そこで、私はまた新たな事に気がついた。


ずっと、見ていたからこそ気づくこと。


何時間も、あそこにいたはずなのに………。











彼は、誰とも会話をしていない。


「えっ?あれ?うそ?」


彼は、ただそこに座っていただけ。