彼はこっちに走って来た。 「良かった…ここに来れば会える気がしたんだ。」 「えっ?私を待ってたの?」 男の子は頷いた。 …だからこの子はまた危険を犯して陸に? 「あの兄ちゃんに伝えてくれ。海の姫が…帰って来るって。」 「えっ?」 海の…姫? 「嘘…海の民に姫がいるなんて話、聞いた事無い。」 「俺達だけの秘密事項だったから。けど、ここ数年行方をくらましてたんだ。 その姫様が、帰って来る。」