「心さん?」

…………真!!
と思って顔をあげたけど、すぐに我にかえる。


真は私を『心さん』とは呼ばない。

「しん…………?」
「それって、兄貴を呼んでるの?」

頭があまり回らない。
進君が、わずかに微笑む。



………あ、あぁ。
そうか。
『しん』は私達のこと。




「どうして、進君のそばなら眠れるのかな?今まで、会社でウトウトするだけでも駄目だったのに。」
「駄目?」

「………真の声が、聞こえるの。眠ろうとすると。」

「兄貴の………?」

頷く。

「…………心さん。」