「心さん?」
次に正気を取り戻したのは、真の声が聞こえたと思ったから。
私は何度勘違いするんだろ?
辺りを見回すと、見慣れない景色が広がっていた。
でも、知っている人はいた。
「…………進、君。」
じゃあここは、進君の家?
「また、兄貴だと思った?」
「え?」
「さっき、『真、いかないで!』って俺にしがみついてたから。」
「え………。ご、ごめんなさい。」
「いいよ。………でも、そんなに似てる?声も顔も、そんなに似てるって言われたことないんだけど。」
進君は、苦笑いした。
―この人のこころも、凄く傷ついてる。―
「…………泣かないで。」
無意識に、声がでていた。