「……弘!」

「心!久しぶりだな~!元気だったか?」

入ってきたのは、タキシード姿の弘。弘に会うのは久しぶりだった。

「なんだ、弘かぁ。」

何故か残念そうな真由に、弘が眉をよせる。

「なんだよ、不満そうにすんなよ!」

「私が誰を待ってるか、わかってるくせに!」

二人の話についていけない私は、ぽかーんとしていた。


その時だった。

「ドア開けっ放しで主役二人、ケンカするなよ……。」

懐かしい、聞き覚えのある、優しげに響く声が聞こえた。
その温かな声とはうらはらに、私の体は凍りついた。