気を引き締めて、化粧をする。
どんなに頑張って化粧したって、美姫さんにかなうわけないのに。というより、そんなこと気にする必要ないはずなのに。

何故か私の頭には美姫さんの顔が何度も浮かんできて、なんともいえない気分になった。



そして出来上がったのは、いつもより気合いの入った化粧をした鏡の中の私。



―……なにしてんだか。―
ため息を一度吐いて、鏡をパタンと置いた。

ちょうどその時、

「心さん?準備出来た?」
と台所から呼ぶ進君の声が聞こえた………。