このぬいぐるみを見る度に思い出す。 彼の笑った顔。 つないだ手。 …私の頬を伝う指の感触。 思い出す度に恥ずかしくなって、体中が熱くなっていく。 ………おかしいよ、私。 「…なんか、悪かったかなと思うんです」 私がそう言うと、先輩は不思議そうな顔をした。 「どういうこと?」 「いや、…お金は一銭も払わせてもらえなかったし、なんか…私と一緒にいて楽しかったのかなって思ったんです」