王子様は話しを聞いていくうちに、少女のことが気になるようになってきました。
お爺さんが話した時は信じていなかったのに、少女が話したら本当のような気がしてきたのです。
「君は金庫の開け方を知っているんだね」
『ええ』
「教えてくれないか?」
『別に構わないけど、王子様はこれが本物のクロッカーの金庫だと信じてないんでしょ?』
少女は首に下げた小さな箱を指で掴みます。
本当に小さな箱です。
「信じてないと言えないのか?」
『いいえ。でもこれを金庫だと信じていないなら開け方も信じてくれないと思ったので』
「特殊な開け方なのか?」
『ええ、とっても』
クロッカーは何故そんな金庫を作ったのか……、王子様は金庫をじっくり見たくなりました。
「その箱、少し見せてはくれないか?」
『どうぞ?今は王子様の物だし』
少女は快く首から下げてる箱を取り、王子様に渡しました。
手に取って見ると本当に小さな箱です。


