クロッカーの金庫




牢と言っても軽く軟禁するつもりだったのに、お爺さんは次の日に死んでいました。
暴力はしておらず、食事も与えていたのに、お爺さんは少女の隣で幸せそうな笑みを浮かべ息を引き取っていました。

王子様が様子を見に来た時、少女は涙を浮かべてはいましたが優しそうに冷たくなったお爺さんを撫でていました。

王子様が何があったと聞くと、少女は何もありませんと答えました。



『寿命だったのです』



初めて聞く少女の震えた声に、王子様は胸が熱くなりました。
少女が可哀相に思えたのです。

王子様は少女を自由にさせると、少女のためにお爺さんの立派な墓を立て埋葬してあげました。
少女はずっと静かに涙を流していました。

それから少女の話を聞くことにしました。

少女はお爺さんの孫で、ここに来る前に金庫を渡され、金庫の開け方と自分が王子様と結婚することになるということを教えられたと言いました。

少女もいきなり告げられた事実に驚いているらしかったが、少女の話し方はそんな風に感じさせるものではありませんでした。
それは少女が常に冷静で大人っぽかったためでした。