あんな小さな箱に何が入っているのだ?と皆が思いました。
しかも箱には見たところ、鍵穴もダイヤルも扉もなく、開けるところがなさそうでした。
確かに誰にも開けることはできなさそうですが、そもそも金庫と呼べる代物には思えません。
誰もが偽物だと思いました。
お爺さんの発言に怒ったのは王子様です。
「ふざけているのか!そんなものは金庫ではない!」
「では王子様は実際にクロッカーの金庫を見たことがあるというのですかな?」
「金庫は遺産を入れるものだコイン一つ入らないそのような箱に何が入っているというのだ!」
「王子様の大切なものです」
「僕の大切なもの……?」
どういう意味でしょうか?
お爺さんは初代国王の遺産が入ったと言われてきた金庫には、三代目の大切なものが入っていると言うのです。
わからない発言ばかり繰り返すお爺さんに王子様は耐えられなくなり、とうとう王子様は……
「この者たちを牢に入れてしまえ!」
そう、兵士たちに命じたのです。
お爺さんは連れてかれる間際に言いました。
「王子様、わしはきっと金庫を開けられると信じております。忘れたとても大事なものをきっと取り戻して下さい。どんなに変わっても二代目のようにやり遂げることを祈ってますぞ」
忘れたとても大事なもの?
二代目のようにやり遂げる?
王子様はわかりません。


