「父様の知り合いなら母様も知っているだろ。お前は怪しい」
「もし、本当の金庫だったらどうするのです?」
「……すごい自信だな。本物だと証明できる何かがあるのか?」
「証明かのぅ……それは王子様次第ですじゃな」
「……どういう意味だ」
お爺さんは顎に手を当て考えるように言うとまた笑って言いました。
「わしは開け方を知っておるが開けるのはあなたですぞ王子様」
王子様はますますわかりません。
開かないものを開けるのが鍵師の役目です。
なのに何故自分が開けなくてはいけないのかと不思議でたまりません。
「そなたは金庫を今目の前に出せるのか?」
女王様がお爺さんに言いました。
お爺さんは楽しそうに微笑んで少女の背中をポンと押します。
少女は一歩前に出ました。
「この子の首に下げてる小さな箱がその金庫ですじゃ」
そこにいた全員が驚きました。
金庫というのだから大きなものを連想させていたのに、実際は首に下げてアクセサリーにするかのような大きさだと言うのです。


