昔々あるところに、
誰にも開けられない金庫がありました。

制作者は今は亡き天才鍵師“クロッカー”という男。

金庫は初代国王の遺産が入っていると言われているとても貴重で値段のつけられないものでした。

しかし、初代は戦争で亡くなり、金庫の開け方を教えられた二代目も、子孫は残せましたが、残された一人息子の王子様には金庫の開け方を教えられないまま流行り病で若くして亡くなってしまわれたのです。

しかも、二代目は誰にも見つからないようなところに金庫を隠してしまいました。

幼いのに三代目として王の座についた王子様にとっては悲しく辛いものでした。

優しい女王様のおかげで立派に育ちはしましたが、父親がいないというのは王子様にとって深い傷だったのでしょう。
国の全てを背負い、自分を追い込みとても厳しい方になられたのです。