それから数ヶ月が経ち、お爺さんが死んでしまい行き場のなくなった少女に、王子様は自分の城で働きながら住ませることにしました。
クロッカーの金庫の開け方を唯一知る者だからという理由もありますが、なんだかんだ言い王子様は少女のことが気になっていたのです。
王子様と少女は共感できるところが意外とあり、王子様は少女に相談するようになりました。
少女は本当にクロッカーの子孫だったらしく、鍵師の技術を受け継いでいました。
開かないものがあれば少女に頼めば何でも開けたのです。
王子様は少女に聞きました。
「なんで何でも開けられるのにお前はクロッカーの金庫は開けられないんだ?」
『それは私が金庫の持ち主ではないからです。実際、制作者のクロッカーも開けられませんでした』
「クロッカーも?じゃあ誰が金庫を開けたんだ?」
『金庫を開けたのはクロッカーの息子。私のおじいちゃんですよ』
「あの爺さんか……」
亡くなったお爺さんはずっと笑っている記憶しか王子様にはありません。
「僕にも開けることはできるだろうか……?」
『……今の王子様にはまだ無理ですね』
「まだ?」
『でももし開けることが出来たら私は嬉しいです……そしたら王子様のこと好きになれるかもしれませんね』
状態っぽく言った少女の言葉に王子様は胸が高鳴りました。


