川の勢いに負けてしまいそうなコーディの姿に焦る。
思い出せ!!
“アイツ”を…!
『ウ…ウキョウ…もう手が…』
力ないコーディの声に右京が『駄目だ!放すな!』と言った直後だった。
小さな手が…
木からスルリと離れた…
「ジュンーー!!!!」
次の瞬間ドーーン!というけたたましい爆音とともに水柱が上がった。
水飛沫と一緒に川の中から現れた…藍色の瞳をした小柄な青年…
彼は気を失ったコーディを抱いて空中に浮いていた。
その光景に右京は目を見開いてただ呆然と見つめる。
束ねられた長い黒髪を揺らしながら、その青年は右京を見下ろす。
そうだ…俺が“アイツ”を呼んだんだ…
彼は右京と目が会うと目を細めて微笑んだ。
そして静かに右京の前に舞い降りた。
「…お久しぶりでございます…右京様…」
彼は異国の言葉でそう言った。
これは…日本語だ。
「右京…さま…だと?」
ちょっと驚いた顔をして青年は右京をじっと見つめる。
「…そういう事ですか…」
青年…ジュンはそう呟いて悲しそうに笑った。

