とある堕天使のモノガタリⅢ ~ARCADIA~





バージはバサバサと羽ばたいて道端の木に舞い降りた。



やっと追い付いた右京は膝に手をついて呼吸を整える。




─早く!助けて!




バージの言葉に右京は顔を上げた。



道の先にある川の流れが聞こえる。


スコールのせいで水位が増えたらしく、その音で流れの勢いがかなり速い事が判る。


水の音に紛れて微かに人の声が聞こえた。



『…まさか…』



間違いない、コーディの声だ!




吸い込まれそうな濁流を見つめ、必死にコーディの姿を捜す。



『コーディ!!』



何処だ…何処に居る!?




『た…けて…!』




居た…!



コーディは川の中洲だった所に生えていた木にしがみついていた。




『コーディ!!』




声を張り上げた右京に気付いてコーディがこちらを見た。




『ウキョウ…!た…助けて、ウキョウ!』



『今助ける!だから絶対放すなよ!?』




とは言ったものの…どうする!?



この水の流れをどうにかしないと…!



…水の流れ…?




記憶が交錯する。



脳裏に一瞬蘇った記憶と伴に背中に走る激痛…。



水なら…“アイツ”が得意なはず…