運転手が言う通り、15分程でスコールは既に止み、道はまるで川のような水溜まりになっていた。
走れるのか心配していたが、運転手は『いつもの事だから大丈夫』と言って気にせず走り続けた。
『あと少しで街に着くよ。』
運転手はそう言って二股の道を右へと入って行った。
『運転手さん、さっきの所を左に行くと何処に行くんですか?』
『あ~…あっちにも街があるけど、スコールが降った後は冠水してて危険なんだ。今日は手前のこっちの街で勘弁してくれ。』
『ガイド頼んでたけど、それなら仕方ない…後でデナリーの観光局に電話しておこう。』
『そうですね。車ごと水没したら大変ですもん!』
タクシーは無事、手前の街に到着し、二人は少し多めにタクシー代を支払って降りた。
『そろそろランチにしよう。』
『実はお腹ペコペコ~!』
『食べ物も旅の楽しみの一つだ!』
そう言ってニコールは忍の荷物を持ってくれた。
こういう時はイギリス出身の紳士だ。
忍は有り難くその行為に甘える。
そして街の散策を兼ねてランチへと二人は繰り出して行くのだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇

