◇◇◇◇◇◇◇◇
しばらくタクシーが走ったあたりで前も見えない程のスコールに見舞われ、忍は少し怖くなった。
タクシーの運転手はバックミラー越しにその様子をみて人の良さそうな笑みを浮かべた。
『お嬢ちゃん怖いのかい?ただのスコールだからすぐ止むさ。』
そう言われ忍も笑って『なら良かったです。』と答えた。
『こっちへは観光かい?』
『まぁ、仕事と観光両方ですよ。』
ニコールが答えると『そうかい』と言ってから振り返って運転手は少し真顔になった。
『お二人さん、気をつけな…ここらじゃ観光客は強盗の餌食だ。』
『あ、大丈夫。優秀な護衛がついてるんで~』
『ニコール…それってまさかとは思うけど、私の事!?』
『やだなぁ、シノブ!他に誰が居るって言うんだい?』
忍はムッと膨れてニコールの足を踏んでやった。
『いてッ!…ほら、運転手さん今の見た!?この子意外と怖いんですよ~…』
『失礼な!止めてください!』
二人のやり取りを見ていた運転手は声を上げて笑った。
『…ほら、お嬢ちゃん!スコールはもう止みそうだ!言った通りだろ?』
忍はそれを聞いて窓の外に目を向けた。

