事情を聞いた谷地は右京に「忍の彼氏?」と話しかけた。
「あ、どうも。うちの忍がお世話になってます。」
ニッコリと微笑んでそう挨拶をする右京に谷地の顔が赤みを帯びて行く。
「なに!?…なんなのあの色気は!!」
「痛い痛い!!ちょ…谷地さん落ち着いて!」
ブンブン揺さぶられた忍がもがきながら谷地を宥める。
「右京のあれは、本人無意識なんで…」
「はぁ~!あんたが心配になるのも判るわ…」
そう言って谷地に半分同情の目で見られた。
右京は右京で松山と意気投合しつつある。
突然右京の携帯が鳴り、画面を見てピクリと眉を動かした。
「…誰?」
「ニック。アイツここでも邪魔してくんのか…」
ブツブツ文句を言いながら携帯を耳に当てると、一言二言英語で会話を交わすと右京は忍を振り返った。
「忍。“Mr.Shinjo”ってどこ?」
「新庄さん?…あそこに…」
「ちょっと行って来る。」
平然と広間を移動して行くと右京は新庄に話しかけて何かを手渡していた。
どうやらニックから何かを預かっていたらしい。
新庄はそんな右京の肩をバシバシと叩いてグラスを手渡すとビールを注いでいる。
─っていうか、新庄さん…それ部外者ですよ!?
女性社員も右京の周りに寄って来て、忍はムッとしながらもその様子をチラチラと伺う。
右京がこちらに視線を向けると、周りの連中が一斉に忍を見た。
─うわぁ…気まずい!!
慌てて忍は視線を反らしてビールを煽る。

