『ウリエル様らしい“人間”を見つけました。』
彼女はハニエルにそう言った。
『人間…なのか?』
『力の波動を全く感じません。
現状では“人間”が一番適した言い方かと…』
バジリスクの言葉にハニエルは『そうか…』としばらく考え込んだ。
『まだウリエル様と断定するには早い。引き続きその“人間”をマークしてくれ。』
『かしこまりました。』
そう言うとバジリスクはまた下界へと飛び立って行った。
その姿が見えなくなるとハニエルの隣に居たリサは『ねぇ』とハニエルに問いかけた。
『もしその“人間”がクロウだとしたら、何故今まで見つけられなかったのかしら…』
『…わからない…でもあの時ウリエル様はルシファーと対峙していた。
もしかしたら何らかの術を受けたか、もしくは…』
『…もしくは?』
『…“防衛本能”…』
リサはハニエルの言葉がよく理解出来なかったらしく、ちょっと首を捻る。
『元々ウリエル様は下界に転生した時“人間”と大差ない状態だったんだ。』
何らかの衝撃から自己防衛の処置として“人間”に戻ったのではないだろうか?
だが、たとえそうだとしても仲間の前から姿を消す必要があるだろうか?
ハニエルは結局答えを出すことが出来なかった。

