『俺、ジュリアに彼女を重ねてるんだ。…ちょっと雰囲気が似てるから…。』
『…いいよ…それでも…』
『俺がよくない。』
そう言う右京をジュリアは潤んだ瞳で見つめた。
『そういう目で見るなよ~!』
また忍を連想してしまう。
『…彼女の事、愛してる?』
『ん。愛してる。だから俺を誘惑しないで…。ジュリアは大事な友達だし、嫌いになりたくない。』
淡々と答える右京にジュリアは『ずるい人』と呟いた。
『判った。さよならのキスして。その位ならいいでしょ?』
ジュリアはそう言って微笑んだ。
右京は少し身を屈めて彼女の頬にキスを落とした。
『またね。ありがとう。』
頭をポンポンと撫でて去って行く右京をジュリアは見送る。
途中振り返って軽く手を挙げる右京にジュリアはクスッと笑いながら手を振る。
『…ホントずるい人…』
いっそ思いっきりフってくれれば忘れられるのに…。
自分を受け入れて貰えなかったのに不思議と気分は良かった。
『よし!飲み直そう!』
ジュリアは独り言を呟いて仲間の待つテーブルに戻って行った。
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