とある堕天使のモノガタリⅢ ~ARCADIA~

   ◇◇◇◇◇◇◇◇


右京の失踪は人間界だけでなく、天界でも問題になっていた。



普通なら天界の人間が下界に降りた時、その力の波動を察知出来れば存在を確認する事が可能だ。



それがどういう事か、あの事件を境に右京…つまりウリエルの存在がわからなくなってしまった。



だが忍の所持しているフォカロルの契約証は有効なのを考えると、ウリエルの存在が完全に消えたとは考えにくい。



そこでウリエルの主である“ラー”はある決断をした。




それは“黄泉の門番”としてのウリエルの役目を剥奪するという事─



ウリエルの抜けた穴はハニエルが埋める事になり、彼は自由に下界に降りる事が出来なくなった。



また、ハニエルが“黄泉の門番”に就いた事によって、今までウリエルが不在にしていた間、その役目を代行していたバジリスクは行き場を失った。



そこでハニエルはウリエルの捜索を彼女に指示したのだった。




人間嫌いのバジリスクにとってはかなり苦痛だろう…


だがウリエルを崇拝していたバジリスクは快くそれを引き受けた。




下界に降りた彼女から連絡が来たのはそれから数日後だった。