クドラクは急に表情を厳しくして右京に顔を近付けた。
『…いくら強くても独りじゃ無理があると思いますよ。』
『言えてるな。山羊も黙ってないだろしな…。』
『ええ。あの山羊、何かやろうとしてるみたいでしたし…。』
それが判ると動きやすいのだが…。
『…探れるか?』
『言うと思いました。やってみます。』
クドラクは不適な笑みを浮かべて『ではまた』と言って去って行った。
─忍は大丈夫だろうか…
右京は忍の事が心配で、皆の待つテーブルに戻っても楽しく飲めなかった。
潤を信用してない訳ではないが、やはり忍を守るのは自分でありたい。
『…悪い。俺そろそろ帰るわ…』
『もう行くのか~?』
付き合いが悪いと言うマイク達に謝って席を立った。
そんな右京をジュリアが追いかけて来て『大丈夫?』と声を掛けた。
『ああ、大丈夫だよ。』
『私も一緒に帰ろうかな…』
そう言うジュリアに右京は困った様に微笑む。
『ジュリアにそう言われると正直連れて帰りたくなる。…でも出来ないよ。』
『ごめんね』と言う右京にジュリアはギュッと抱き付いた。
『謝んないでよ。…連れて帰ればいいじゃない…。』
右京は『はぁ…』と溜め息を着くと少し間を置いてなんて言おうか考える。

