とある堕天使のモノガタリⅢ ~ARCADIA~





クドラクは急に表情を厳しくして右京に顔を近付けた。




『…いくら強くても独りじゃ無理があると思いますよ。』




『言えてるな。山羊も黙ってないだろしな…。』




『ええ。あの山羊、何かやろうとしてるみたいでしたし…。』




それが判ると動きやすいのだが…。




『…探れるか?』




『言うと思いました。やってみます。』




クドラクは不適な笑みを浮かべて『ではまた』と言って去って行った。




─忍は大丈夫だろうか…




右京は忍の事が心配で、皆の待つテーブルに戻っても楽しく飲めなかった。




潤を信用してない訳ではないが、やはり忍を守るのは自分でありたい。




『…悪い。俺そろそろ帰るわ…』




『もう行くのか~?』




付き合いが悪いと言うマイク達に謝って席を立った。



そんな右京をジュリアが追いかけて来て『大丈夫?』と声を掛けた。




『ああ、大丈夫だよ。』




『私も一緒に帰ろうかな…』




そう言うジュリアに右京は困った様に微笑む。




『ジュリアにそう言われると正直連れて帰りたくなる。…でも出来ないよ。』




『ごめんね』と言う右京にジュリアはギュッと抱き付いた。




『謝んないでよ。…連れて帰ればいいじゃない…。』




右京は『はぁ…』と溜め息を着くと少し間を置いてなんて言おうか考える。