とある堕天使のモノガタリⅢ ~ARCADIA~





その視線が『えっ…そっち系?』と言っている。




右京はブンブンと首を左右に振る。




『あ~すみません。私達の関係は秘密でしたか…』




そう言って首筋を舐められ右京は勢いよく立ち上がった。




『クドラク!!』




『はい、なんです?』




『…ちょっと来い。』




唖然とするジュリア達を無視してクドラクの胸ぐらを掴み、彼を店の外まで引きずり出した。




『ふざけんなよ!お前何考えてる!?』




『特に何も。…あ~強いて言えば血を頂きたいですね~』




『それ今じゃなくてもよくないか!?』




右京の剣幕にクドラクは『冗談ですよ』と笑った。




『ちょっとした情報を入手しましてね?それを伝えに来ました。』




『…情報?』




『ええ、オオカミと山羊の話なんですが…』




それを聞いて右京はピクリと片眉を上げた。




『最近、片角を折られた山羊が居ましてねぇ。オオカミが仕返しをしようと山を降りるとかなんとか…』




『山を…それはマズイな。』




『まぁ、オオカミもあちこちでハンターにやられて数が意外と減ってるみたいですし…
今すぐって訳ではないと思いますがね。』




あちこちって事はやはり潤も動いているのか…。