とある堕天使のモノガタリⅢ ~ARCADIA~


ダイニングではニコールがパスタを作ってくれていた。



彼は忍の前にコーヒーを置くと『ちょっとゆっくりしてて』と椅子に座るよう促す。



忍はコーヒーを飲みながらニコールに話し掛けた。



『今回はどんな記事を書くんですか?』



『実は記事はもう出来てるんだ。』




ニコールの言葉に忍は眉を寄せる。



『まぁ、取材ってのは表向きの理由だ。』


『…嘘なんですか?』


『嘘ではないよ?セントルシアにも色々伝承はあるからね。
まぁ、いいネタがあったらラッキー位に思ってくれればいい。』




そういいながら二人分のパスタをテーブルに並べた。



グラスにワインを注ぎながらニコールは本題に入った。



『本当の目的はクロウの捜索だよ。』




その言葉に驚いて忍は言葉を失った。




『ヒューガから連絡が来てね。
もしかしたらセントルシアにクロウが居るかもしれないと言うんだ。』



ニコールは『とりあえず食べよう』とグラスを手に持った。



忍もワインに口を付けてから『虎太郎君はなんて?』と話の続きを尋ねた。



ニコールはパスタを口に運びながらポツリポツリと話し始めた。