とある堕天使のモノガタリⅢ ~ARCADIA~





「もしルシファーの力を回復させたいのなら、間違いなく狙って来る。」




「でもあれはただの伝説よ?本当にあるかどうか…」




「本当にあったとしたら…?」




もしそれが存在するとしたら、絶対にルシファーに渡してはいけない代物だ。




「先手を打つって言いたいの?」




「正解!だから手分けをするのに忍の力が必要なんだ。」




「わ…私!?…何をさせるつもりよ!」




「そりゃ~色々とね。だから早くこっち来て。」




─簡単に言わないでよ…




と思いながらも、必要とされてる事が少し嬉しい。




何より単調な毎日に少し退屈していたのだ。




それに右京に会えるのなら尚更である。




「…って言うのは口実。本当は俺が忍に会いたいだけ。」




その言葉に鼓動が高鳴る。




「…しっ…仕方ないわね…チケット取ってみるわ。」





忍の思ってる事なんてお見通しの右京はちょっと不満そうに「おい…」と低い声を発した。




「素直に“私も会いたい♪”とか言えないの?」




「言えないわよ、恥ずかしい。」




「言えよ!“右京に会えなくておかしくなりそう”って言って!」




「ばっ…馬鹿じゃないの!?おかしいのは右京の頭じゃん!!」




思わず外なのを忘れて大声を出して周りの視線が痛い。