“ヴォイニッチ手稿”を解読させない為に“名前のない本”が存在したのは事実だ。
ならば気になるのはその内容だ。
あの時…ルシファー側に“名前のない本”が渡った時はそれが“ルシファーの翼”を復活させる術が書かれているからと思っていた。
「…アランが言うには“ヴォイニッチ手稿”が230ページもあって書いてある内容がそれだけな訳ないんじゃなかって…。」
「…確かに…!もっと色々な事が書かれてても不思議じゃないわ!」
「まずそれを確かめたい。」
忍は右京の話に納得しつつ、何か引っかかった。
「…待って。ニコールは“聖杯伝説”って言ってたわよ?」
「おっ…!記憶力いいね~優秀なジャーナリストだ!」
「右京に言わせたら、世の中の8割の人間は記憶力が良いわよ。」
「…軽く傷つくんだが…」
ちょっと溜め息を着きながら右京は「否定出来ないけど…」と続けた。
「“聖杯伝説”については忍知ってるよな?」
「ええ、一般的なものはね…」
それは、王が病み、主人公である聖杯の騎士が聖杯に正しい問いをすることで回復することができるのだが失敗し、騎士は聖杯探求の使命を与えられるというものである。

