とある堕天使のモノガタリⅢ ~ARCADIA~




『ちょっとサイドワークの方で調べたい事があってね…ついでだから仕事を兼ねてしまおうかと考えてるんだ。』




『珍しい!いい心掛けだと思いますよ?』




『俺だってちゃんとやる気はあるんだよ~?』




そのやる気をいつも見せてくれると有難いのだが…




『で、今回のテーマは?』




『“聖杯伝説”だよ!』




『“聖杯”!?…ワクワクしますね!!』




『だろ~?シノブには絶対気に入って貰えると思ったんだよ~』




忍の反応に気をよくしたニコールは“聖杯”について語り出した。




そもそも“聖杯伝説”とは、不思議な力が秘められた聖杯を探し求める騎士の物語だ。




また一説ではキリストの血を受けたともされ、一般的には“聖遺物”に分類されている。




『なんでまた聖杯を?』



『あ~…説明したいのは山々なんだけど、今から俺アメリカに飛ばなくちゃでね~?』




…忙しない人だ。




『詳しくはクロウに聞いて!』と一方的に電話を切られて忍は受話器を睨んだ。




「…どいつもこいつも…なんなの一体!」




パラパラと帰り支度をする同僚を見て、忍も残業をするのが馬鹿らしくなって来た。




「私も帰ろう…」




駅まで歩きながら右京に電話を入れる。