ウキョウがバージを撫でてやると嬉しそうに目を閉じた。
『ほら、触りたかったんだろ?』
『バージ…怒ってない?』
『怒ってないよ。』
確かにいつもなら飛び立ってしまう距離なのにバージは大人しい。
恐る恐る手を伸ばしてバージの羽根に手を触れた。
『わぁ…スベスベだぁ!綺麗だなぁ~…』
感嘆の声をもらすコーディを見てウキョウは微笑む。
『良かったな、バージ。お前は綺麗らしい。』
そう言うとまたピュィとバージは鳴いた。
まるで返事を返しているようなバージに、コーディとウキョウは顔を見合わせて笑った。
しばらくして飛び立ったバージを見上げて二人は丘に寝そべって空を見ていた。
コーディは空を見たまま『ねぇ』とウキョウに話し掛けた。
『ウキョウもバージみたいにどっか行っちゃうの?』
『そのうちな…
いつまでも世話になる訳にはいかないよ。』
『ずっと居ればいいじゃん!気にしなくていいのに…』
『大人は気にするの。それに…』
『それに?』
『待ってるはずだから。』
『誰が?』
『…わからない。でも待ってるよ、絶対。』
そう言うウキョウの横顔は少し寂しげだった。