とある堕天使のモノガタリⅢ ~ARCADIA~





地下の廊下を頼りないペンライトの明かりで照らす。




『結構広いな…』




これだけ敷地の広い屋敷だ。




昔は使用人も沢山いたんだろう。




同じ扉の地下室は使用人の部屋だったんじゃないかとアンダーソンは思った。




どの扉もノブが埃まみれだ。




暫く行くとノブが他の扉より豪華な扉を見つけた。




隣の扉と見比べてみる。




『…ここだけ埃がないな…』




アンダーソンはそのドアノブを掴むとゆっくり捻った。





音もなく開く扉。




その部屋は地下なのにもかかわらず、まるで広間のようだった。



真ん中に置かれた長く立派なテーブルは埃一つない。




アンダーソンは不審に思った。




ダンはさっき“特に何も無かった”と言ったが、誰かが最近まで出入りしてるだろう事は明らかだ。




─何か隠してる…?




だとしたら何を隠してるのかが気になった。




ペンライトで室内を照らしながら奥へと進む。




─この匂いは…漂白剤か?




“漂白剤”だとすれば何を漂白したのかと考えるところだが、アンダーソンは直ぐにピンと来た。




恐らく“血液”を漂白したのだ。