地下の廊下を頼りないペンライトの明かりで照らす。
『結構広いな…』
これだけ敷地の広い屋敷だ。
昔は使用人も沢山いたんだろう。
同じ扉の地下室は使用人の部屋だったんじゃないかとアンダーソンは思った。
どの扉もノブが埃まみれだ。
暫く行くとノブが他の扉より豪華な扉を見つけた。
隣の扉と見比べてみる。
『…ここだけ埃がないな…』
アンダーソンはそのドアノブを掴むとゆっくり捻った。
音もなく開く扉。
その部屋は地下なのにもかかわらず、まるで広間のようだった。
真ん中に置かれた長く立派なテーブルは埃一つない。
アンダーソンは不審に思った。
ダンはさっき“特に何も無かった”と言ったが、誰かが最近まで出入りしてるだろう事は明らかだ。
─何か隠してる…?
だとしたら何を隠してるのかが気になった。
ペンライトで室内を照らしながら奥へと進む。
─この匂いは…漂白剤か?
“漂白剤”だとすれば何を漂白したのかと考えるところだが、アンダーソンは直ぐにピンと来た。
恐らく“血液”を漂白したのだ。

