『じゃあ、ここには調査ですか?』
『ああ、とある女子高生の失踪事件でね。どうやらここにも出入りしてたみたいなんだ。』
『自分も失踪事件の調査ですけど、無駄足みたいです。特に何もありませんでしたよ…』
ダンはちょっと肩を竦め、やれやれと首を振った。
『…最近失踪事件が多くないか?うちの事務所にでも立て続けに4件だ。』
『ですね…署でもお手上げですよ。』
だからこうやってアンダーソンの元に仕事が来るのだろう。
『でも失踪事件はなかなか解決が難しい…運に任せる部分も大きいですよね…。』
ダンの言う通り、大概はそうそう解決出来るもんじゃない。
特に若者の場合は事件性がないと動かないだろう。
『って事は、ダンの方は何かの事件がらみか?』
『自分の方は失踪したのがヤクの売人でして…廃墟をあちこち当たってます。』
売人絡みはただの失踪より大変だ。
『お互い骨が折れるな…』
『ええ…。今度飲みながらゆっくり話しましょう!』
そう言うとダンは屋敷を去って行った。
入れ替わりにアンダーソンが屋敷に入る。
静まり返る薄暗い室内に気味の悪さを感じた。

