とある堕天使のモノガタリⅢ ~ARCADIA~





『じゃあ、ここには調査ですか?』




『ああ、とある女子高生の失踪事件でね。どうやらここにも出入りしてたみたいなんだ。』




『自分も失踪事件の調査ですけど、無駄足みたいです。特に何もありませんでしたよ…』




ダンはちょっと肩を竦め、やれやれと首を振った。




『…最近失踪事件が多くないか?うちの事務所にでも立て続けに4件だ。』




『ですね…署でもお手上げですよ。』




だからこうやってアンダーソンの元に仕事が来るのだろう。




『でも失踪事件はなかなか解決が難しい…運に任せる部分も大きいですよね…。』




ダンの言う通り、大概はそうそう解決出来るもんじゃない。




特に若者の場合は事件性がないと動かないだろう。




『って事は、ダンの方は何かの事件がらみか?』




『自分の方は失踪したのがヤクの売人でして…廃墟をあちこち当たってます。』




売人絡みはただの失踪より大変だ。




『お互い骨が折れるな…』




『ええ…。今度飲みながらゆっくり話しましょう!』




そう言うとダンは屋敷を去って行った。




入れ替わりにアンダーソンが屋敷に入る。



静まり返る薄暗い室内に気味の悪さを感じた。