『ラナは本当に真面目ないい子でした。…とても綺麗な子でしたから、誰かに騙されてしまったのかもしれません。』
『確か特待生でしたね?進学も決まっていたと親御さんから聞きましたが…?』
『ええ、アメリカ留学が決まっていました。頭の良い優等生でしたよ。』
それを聞いて何となく腑に落ちない。
頭の良い優等生が簡単に誰かに騙されるだろうか?
まあ、裏ではドラッグに手を出していたらしいし、騙されたとしても不思議ではないが…。
『彼女の論文は本当に素晴らしかったんですよ?…ああ、私は歴史の教師なんですが、つい最近彼女のレポートにA+をつけたんです。』
『…どんな論文でしたか?』
『英国貴族についてでした。とても細かく調べてあって、何を参考にしたのかを聞いたくらいですよ。』
ちょっと興奮気味な教師の様子で、それが嘘ではないと判った。
『…そしたら彼女、“見学しに行った”って言うので驚きましたよ~』
『貴族の屋敷をって事ですか?』
『ええ、今は廃墟になってますが、郊外の丘の上に“ゲイリー伯爵”のお屋敷があるでしょ?あそこに行ったそうです。』
教師は『ゴーストハウスって噂なのに勉強熱心で…』と喋り続けていた。

