一通り事情を聞き終え、アンダーソンは深い溜め息を着いた。
『じゃあ、君達はラナのアリバイ工作に協力させられてたんだね?』
『で…でも私達は彼女については詳しくないし、裏の顔を知ってたからと言って直接関わってないんです…!』
『そうです…!だから…だから彼女の失踪については何もわかりません…。』
アンダーソンには少女らが『自分には関係ないから迷惑だ』と言っているようにしか聞こえなかった。
これ以上は何も聞き出せないと判断して彼は『ありがとう』と言って少女達と別れた。
表と裏…
光と闇…
善と悪…。
それを取り巻く人間の汚さにアンダーソンは嫌気がさす。
─いつの時代も同じだ。
だから犯罪も無くならない。
それは刑事時代からアンダーソンが心を痛めている事の一つだった。
校舎を見て歩き、壁の落書きを見ながらぼんやりと考えていると『あの…』と声をかけられた。
アンダーソンより少し若いくらいの中年男性だった。
『ここで何をされてるんですか?』
綺麗なイギリス英語に直ぐ“教師”だと判る。
『こちらの先生ですか?私は探偵をしている者です。』
中年教師は『ラナの件ですか?』と彼に聞き返しした。

