ふと何か思い付いた様にクドラクは身を少し乗り出した。
『そういえば…噂ではルシファーに深手を負わせた輩が居るらしいですね?』
『…へぇ…』
『…とぼけるつもりですか?あなた以外誰がそんな事出来るんです…?』
『…何が言いたい…』
『次にルシファーが何を狙っているか…知りたくないですか?』
平静を装おっていたつもりが、思いもよらない言葉に右京はピクリと眉を動かした。
それを見逃さなかったクドラクがニヤリッと口角を上げる。
『…知ってるんでしょう?ルシファーが何をしようとしているか…。』
右京は黙って相手の真意を探るように睨み返した。
『貴方も私もルシファーが邪魔なのは同じ。…なら、私が貴方に情報を渡しましょう。』
『…見返りは?』
『ルシファーの失脚と、私の保護です。』
『なっ…!?お前を見逃せと言うのか!?』
そう声を荒げたのはクリスだった。
『…別に悪い話じゃないでしょう?』
確かにルシファー側の動向を知りたい右京にとっては悪くない条件だった。
だが、そうなるとこのバンパイアを野放しにする事になる。
暫く考えてから右京は『いいだろう』と答えた。

