とある堕天使のモノガタリⅢ ~ARCADIA~





ふと何か思い付いた様にクドラクは身を少し乗り出した。




『そういえば…噂ではルシファーに深手を負わせた輩が居るらしいですね?』




『…へぇ…』




『…とぼけるつもりですか?あなた以外誰がそんな事出来るんです…?』




『…何が言いたい…』




『次にルシファーが何を狙っているか…知りたくないですか?』




平静を装おっていたつもりが、思いもよらない言葉に右京はピクリと眉を動かした。




それを見逃さなかったクドラクがニヤリッと口角を上げる。




『…知ってるんでしょう?ルシファーが何をしようとしているか…。』




右京は黙って相手の真意を探るように睨み返した。




『貴方も私もルシファーが邪魔なのは同じ。…なら、私が貴方に情報を渡しましょう。』




『…見返りは?』




『ルシファーの失脚と、私の保護です。』




『なっ…!?お前を見逃せと言うのか!?』




そう声を荒げたのはクリスだった。




『…別に悪い話じゃないでしょう?』




確かにルシファー側の動向を知りたい右京にとっては悪くない条件だった。




だが、そうなるとこのバンパイアを野放しにする事になる。




暫く考えてから右京は『いいだろう』と答えた。