『そうですねぇ~…私は自由になりたい。』
『充分好き勝手にやってるじゃないか…』
『クルースニクからみたらそう見えるかもしれないな…。実際はそんなお気楽なもんじゃない。』
クドラクは溜め息混じりにそう言うとテーブルにそっとグラスを置いた。
『悪魔どもにやれと言われれば逆らえない。…言わば鎖に繋がれた状態だ。』
右京には何となくクドラクの言ってる事が判った。
結局は天使もこの使い魔も大差ない。
それを運命だ、宿命だと受け入れて生きていれば悩む事など無かった。
“本当にそれでいいのか”と疑問を持ってしまったが為に、その理不尽な自分の行く末に気付く。
『人間界に居すぎたのかもしれない。…お前達人間を羨み、妬ましく思うのだよ…。』
『だから襲うと言うのか?』
『それとこれは別の話だ。私は単に獲物を狩っているだけ…生きる為にね。』
─“生きる為に狩る”
それはクリスが昔グレイから言われた言葉だった。
『お前はルシファーに謀反を起こす気か?』
『…謀反…?違うよ、私のはただの悪足掻きだ。』
『私も命は惜しいですから』とクドラクは笑った。

