『おや…?君は…なるほど。そういう事か…。』
自分を見て独り納得するクドラクに右京は眉を寄せた。
『…なんだよ…』
『君…いや、あなたの噂は聞いてますよ…“ウリエル”様…』
“様”という敬称を使ってる割にはクスクスと笑っていて、全く敬っている様に感じられない。
『…ウリエル…だと?』
『おや、知らないで一緒に行動していたのかい?この方は黄泉の番人、“堕天使・ウリエル”様だよ。』
クリスは信じられないと言いたげな眼差しで右京を見ていたが、当の本人はあまり気にしてないようだった。
『どうせろくな噂じゃねぇだろ?』
『…ルシファーが貴方の力を欲しているらしいですね?』
『だったら?俺を拘束してヤツに差し出すか?』
右京がそう言うとクドラクは『冗談じゃない!』と眉を寄せた。
『悪魔らの捨て駒になるのはもう御免だ。』
予想外の発言に右京とクリスは顔を見合わせた。
本来バンパイアは悪魔の使い魔だというのが一般的だ。
だがこのバンパイアはそれを不服としているのか…?
『…じゃあ、お前はどうしたいんだ?』
クドラクはワインを継ぎ足すと、弄ぶかようにグラスを回した。

