とある堕天使のモノガタリⅢ ~ARCADIA~





『おや…?君は…なるほど。そういう事か…。』




自分を見て独り納得するクドラクに右京は眉を寄せた。




『…なんだよ…』




『君…いや、あなたの噂は聞いてますよ…“ウリエル”様…』




“様”という敬称を使ってる割にはクスクスと笑っていて、全く敬っている様に感じられない。




『…ウリエル…だと?』




『おや、知らないで一緒に行動していたのかい?この方は黄泉の番人、“堕天使・ウリエル”様だよ。』




クリスは信じられないと言いたげな眼差しで右京を見ていたが、当の本人はあまり気にしてないようだった。




『どうせろくな噂じゃねぇだろ?』




『…ルシファーが貴方の力を欲しているらしいですね?』




『だったら?俺を拘束してヤツに差し出すか?』




右京がそう言うとクドラクは『冗談じゃない!』と眉を寄せた。




『悪魔らの捨て駒になるのはもう御免だ。』




予想外の発言に右京とクリスは顔を見合わせた。




本来バンパイアは悪魔の使い魔だというのが一般的だ。




だがこのバンパイアはそれを不服としているのか…?




『…じゃあ、お前はどうしたいんだ?』




クドラクはワインを継ぎ足すと、弄ぶかようにグラスを回した。