とある堕天使のモノガタリⅢ ~ARCADIA~





クリスは銃に銀弾を装填しながら、どこか嬉しそうに笑った。




右京は『なんだよ…』と少し首を傾げた。




『…ソロ狩りの方が楽だと思ってた。…お前とだとそれが間違いだった事に気付かされる。』




『クリスは今まで独りで頑張り過ぎたんだと思うよ?』




クリスは黙ってただ笑みを浮かべていた。




─馴れ合いってやつかい?…フフフ…弱者の極みだねぇ…




何処からともなく聞こえた声に二人は辺りを見回す。




─そんなに警戒されると傷付く。




声の主はそんな思ってもいなそうな事を口にする。




『お前が元凶か…。』




─人聞きの悪い事を言わないで貰いたい。




低く地を這うように響く声。




─まぁ、立ち話もなんだからこっちに来たまえ…




右京は偉そうなその話し方に苛立ちを覚えた。




奥の扉が勝手に開く。




クリスはフル装填した銃をホルダーに収めると、右京に目配せしてから歩き出した。




─しかし、誰が私のテリトリーに来たかと思えば、君だったとは…正直驚いた。




『そりゃこっちの台詞だ。あんな優男のフリしやがって…』




クリスは部屋の中心でぐるりと室内を見回す。



ほどなくして、その部屋にある扉のひとつが軋みながら開いた。