館の中に入ってすぐ感じたのは、こちらを見ているストリゴイの気配だった。
クリスもそれが判ったらしくコルトとマグナムを構えた。
右京も背中の刀の柄に手を掛けながら相手の出方を待つ。
『意外とまだ数が居るな…』
『10…いや、15ってところか…?』
二階へ続く階段の上を走る足音…
一階の奥に潜む息遣い…
その一つがひと吠えしたのを合図に一斉に向かって来る。
クリスは然して動じず冷静にトリガーを引いた。
右京は彼の背後から迫る影に刀を振り下ろす。
クリスは背後を安心して預けられるのはグレイ以来初めてだと思った。
言わずとも完璧に動いてくれる右京に思わず笑みを浮かべる。
『まだ来るぞ!』
『判ってる!』
一体…また一体と灰と化すストリゴイ。
右京は前回と同じように確実に首を跳ねた。
クリスが撃った一発が最後の一体の腕を掠めた。
そこで弾切れを起こして小さく舌打ちをする。
間髪入れずに右京がクリスの脇をすり抜け前へ出てストリゴイの腹を一文字に切りつけた。
尻餅を着いたそれに右京は飛び乗ると首に刃を突き立てる。
灰になったストリゴイを見てクリスは右京に『助かった。』と短く言った。

