コーディがバージを初めて見たのはウキョウが家に来て数日経った頃だった。
その頃まだ意識の戻らないウキョウをユーリとミーシャが看病していて、コーディは退屈だった。
ウキョウの傍に行こうとするとユーリに『彼は病人だから』と追い返され、ミーシャには邪魔者扱い…。
みんなアイツにばっか…!
不貞腐れて外に出ると玄関前の階段に座って頬杖を着いてぼんやり辺りを見回す。
ふと甲高い鳴き声に空を見上げると一羽の鷲が旋回しているのが目に入った。
その鷲は徐々に高度をさげると、コーディ目の前にあった木の枝へ舞い降りた。
その一連の動きはしなやかで美しく、コーディは目を奪われた。
近寄って見たかったが、コーディが少し動いただけで鷲はまるで威嚇をするように羽根を広げて口を大きく開いて彼を睨む。
艶のある漆黒の翼が日の光に照らされて銀色に輝いて見えた。
鷲はそのまま数回羽ばたくとまた空へと舞い上がってしまった。
度々その鷲はやって来たが、決まってコーディを見るや否や逃げる様に飛び去ってしまう。
それでもコーディは鷲が自分の家に通うように訪れるのを密かに楽しみにしていたのだった。

