クラブに入った右京とバジリスクはさすがに目立つらしく、すれ違う奴らが振り返る。
─…人間だらけ…。苦手です。
テレパシーで頭の中に聞こえたバジリスクの声に右京は少し笑った。
─顔に出てるぞ。暫く我慢しろ。
そう言うとバジリスクは“任せろ”と言わんばかりに、澄まして髪を掻き上げた。
インカムからロイの『二階の席へ』と言う指示が聞こえた。
ちょっとバジリスクを振り返って肩を抱くように促す。
微かに小悪魔的な笑みを浮かべる彼女に右京も口角を上げた。
─いいね…上出来だ。
─ここにいる女達を真似ただけです。
そう言いながら階段を上がる。
─その調子でもっと注意を惹き付けろ。
─御意。
喧騒とするフロアが見渡せるテーブルまで来るとバジリスクの耳元に顔を近付けた。
『俺は一旦ここを離れる。男が話し掛けて来るから、適当に笑って誤魔化せ。…ターゲットは判るな?』
『細身の血色の悪い男…ですね?』
右京は『よし』と囁くとバジリスクの頬にキスを落とした。

