とある堕天使のモノガタリⅢ ~ARCADIA~




ユーリは思い返したように口を接ぐんだ。



『とにかく。ウキョウは遅かれ早かれ記憶を取り戻してここを発つよ。』



『…わかってるよ…そんなの…頭ではわかってる!』



涙ぐむミーシャの肩をユーリは優しく抱くと『そうだよな』と囁いた。



『…もし彼が旅立つ時が来たら、笑顔で送り出してやろうな…』



そんな事を言うユーリにミーシャは返事が出来なかった。



うんと頷けたら楽なのに…


まだ心の整理をするには早すぎる。



─いつか、兄さんの言葉に頷ける様になるかな…



そう考えながらミーシャは一筋の涙を溢した。




  ◇◇◇◇◇◇◇◇




自分の前を歩くコーディは時々振り返ってはウキョウに『早く早く』と手招きをする。



『そんなに急がなくてもバージはちゃんと来るよ。』



ウキョウは笑いながらコーディにそう言ってみたが、それでもコーディは待ちきれなそうにまた振り返った。



『俺ね、あんな綺麗な鳥初めて見たんだ!』



そう言ってコーディはウキョウにバージについて語り出した。