とある堕天使のモノガタリⅢ ~ARCADIA~




P2にバジリスクを連れて行く頃にはすっかり日は西に傾いていた。




『…悪い…遅くなった…』




『珍しいね、クロウが遅刻なんて…彼女が?』




アランは興味深そうに右京の後ろに隠れるバジリスクを覗き込んだ。






『ほら、バージ。いつまでそうしてるつもりだ?』




バジリスクは頭を右京にクシャっと撫でられて仕方なしに顔を出した。




『…こりゃたまげた…人形みたいだな…』




『人形なら楽なんだが…意外と手がかかる…』




何か言い返そうとしたバジリスクは『バージ!待ってたわよ!』と言うシンディの声に振り向いた。




『シンディ!』




さっさと離れて行くバジリスクを見て右京は小さく笑った。




『ニックがムキになってたのも判る。』




『…黙ってりゃあね…』




そう言って溜め息を着く右京を見てアランは『まるで本当の兄妹だな』と笑った。




『ところで彼女のお使いは済んだのかい?』




『ああ、滞りなく。』




結局バジリスクの話を聞いたハニエルは恋人のリサにまで説得させられたらしい。




とりあえず早まった真似はしないだろう。




『それより、大丈夫かな…アイツ…』




シンディに連れられて隣の部屋へ行くバジリスクを見てちょっと心配になる。