◇◇◇◇◇◇◇◇
『…もう一度説明して下さい…』
『いや、だからぁ~…』
右京はハァと溜め息を着いた。
同じ事を説明するのは何度目だろうか…?
別に悪気はなさそうなバジリスクはぐったり気味の右京を見て首を傾げた。
『何故“女”じゃないと囮にならないのですか?』
『クドラクが男だからだろ?それに女はか弱いからいいカモだ。』
『私は…!か弱くもありませんし、カモにもなりません!』
右京はムキになるバジリスクを半眼で睨んで再び溜め息を着く。
『…嫌なのか?』
『嫌ではありません。心外なのです!…人間のフリをするのが…』
右京はかったるそうにソファに凭れて『ふーん』と頬杖をつきながらバジリスクを眺めた。
『…な…なんですか…?』
『…人間のフリが心外とか言いながら、カワイイ格好してんじゃん…』
『こ…これはマスターが買って下さった物ですし…それにシンディが選んでくれたので…』
口ごもりながらチュニックの裾を握りしめるとバジリスクの顔が段々赤くなる。
『とにかく!お前は思いっきりめかし込んで“クドラク”を誘惑しろ。後は俺達がなんとかするから…』
『…はい…わかりました…』
と答えたものの、“誘惑”はどうしたら出来るのかとまた首を捻った。

