とある堕天使のモノガタリⅢ ~ARCADIA~






『…君達…ろくにいい手がないってのに何を言ってるんだ?』




口調は極めて優しいが、微笑みながら言うアランはかなり機嫌が悪い。




それにすぐ気付いて二人は固まる。




慌ててダンが『まぁまぁ』と仲裁に入る。




『何もバジリスクだけに仕事をさせようって訳じゃない。いざとなったらクロウとクリスがついてる。』




ダンが『そうだろ?』とこちらを振り返った。




『本来は俺の仕事だ。問題ない。』




そう答えたのはクリスだった。




『まぁ、クドラクがどれ程かは知らないけど、クリスが居れば大丈夫だろ。』




右京もそう言うとニックとシンディは渋々引き下がった。




『…ただ…バジリスクの血は猛毒だ。この作戦、敵も味方も注意が必要だ。…一滴でも触れたら死ぬ。』




しかもすぐには死ねない。



じわじわと身体を蝕むのだ。




『バジリスクが恐れられているのはその“毒”だ。』




右京の言葉に一同が息を飲んだ。




クリスは『まかせろ』と少し笑った。




『“クドラク”を引き付けられるなら、俺が仕留める。』




アランは楽しそうに『頼もしいねぇ』と微笑むのだった。