『…君達…ろくにいい手がないってのに何を言ってるんだ?』
口調は極めて優しいが、微笑みながら言うアランはかなり機嫌が悪い。
それにすぐ気付いて二人は固まる。
慌ててダンが『まぁまぁ』と仲裁に入る。
『何もバジリスクだけに仕事をさせようって訳じゃない。いざとなったらクロウとクリスがついてる。』
ダンが『そうだろ?』とこちらを振り返った。
『本来は俺の仕事だ。問題ない。』
そう答えたのはクリスだった。
『まぁ、クドラクがどれ程かは知らないけど、クリスが居れば大丈夫だろ。』
右京もそう言うとニックとシンディは渋々引き下がった。
『…ただ…バジリスクの血は猛毒だ。この作戦、敵も味方も注意が必要だ。…一滴でも触れたら死ぬ。』
しかもすぐには死ねない。
じわじわと身体を蝕むのだ。
『バジリスクが恐れられているのはその“毒”だ。』
右京の言葉に一同が息を飲んだ。
クリスは『まかせろ』と少し笑った。
『“クドラク”を引き付けられるなら、俺が仕留める。』
アランは楽しそうに『頼もしいねぇ』と微笑むのだった。

