とある堕天使のモノガタリⅢ ~ARCADIA~





右京は『落ち着け!』と二人を宥めながらガシガシと銀髪を掻いた。




『お前ら、アレは人間じゃねぇの判ってる!?』




『人間だろうが無かろうが、バージが危険じゃないか!!』




『…そうか?』




寧ろ“クドラク”が心配だ。




うーむと唸る右京にアランは眼鏡をかけ直し『君の見解は?』と聞いた。




『バジリスクがバンパイアごときに殺られるとは思えない。それに彼女は優秀だ。』




そう…ウリエルの代役が出来る程に。




眼鏡の奥で鋭い光を放つ様なアランの瞳を右京が真っ直ぐ見返す。




右京の目に自信が垣間見え、ニッと口角を上げた。




『その彼女は今どこに? 』



『ちょっと使いに出してる。まぁ、伝言を頼んだだけだから、何事も無ければそう時間はかからないと思う。』



『そうか…じゃあその間に下調べと、ストリゴイの一掃をしよう。』




アランの言葉にニックとシンディは同時に『えっ!?』と不満げな顔をする。




『不服かい?…なら、やっぱりシンディを囮に…』




『そ…それは無理!』




『じゃあ、ニックに女装させるか…』




『冗談だろ…?』




そんな二人の反応にアランはピクリとこめかみを震わせた。