とある堕天使のモノガタリⅢ ~ARCADIA~





『バンパイアやルー・ガルー(人狼)は基本的に群を作る。特にバンパイアの場合は簡単に数を増やせるから厄介だ。』




『なるほど。あまりのんびりとはしてられない…か…』




『なら、尚更あの男を探さないとな。』




右京の言葉にダンも頷く。


アランは腕を組ながらフラフラと室内を歩きまわる。




そして自分の回転椅子にドカッと座ると、眼鏡のを外して目頭を揉んだ。



その一連の動作はアランが悩んで居る事を表していた。




『狙われるのが女なら、シンディに囮になって貰うか…』




『えっ!?む…無理!絶対無理!』



『だよな…』



『その作戦、女なら構わないか?』




右京がそう言うとアランは一瞬驚いた様に顔を上げ、すぐに怪訝な表情で睨んだ。




『まさか、シノブを…とか言わないよな?』




『はぁ!?まさか!!忍にそんな危険な真似させねーよ!』




右京の言葉にニックが『…まさか…』と呟くと次第に蒼白になる。




『バージに…』




『駄目!あんな小さい子、一捻りだって!』




『そ…そうよ!いくらなんでもあの子に囮をなんて…!』




掴みかかるニックとシンディの勢いにさすがの右京も数歩後退る。