とある堕天使のモノガタリⅢ ~ARCADIA~





ロイとモニター睨みながら右京は口元に手を当てて考え込む様な動作をしていた



アランはそんな右京の肩を叩いて『どうかしたか?』と声をかけた。




『アイツが居なかった。』




『アイツ?』




『俺が昨日会った男だよ。』




監視カメラの映像を見返してみたが、右京達の相手にしたストリゴイの殆どが女だった。




『ストリゴイに女が多いって事はクドラクが男だからだ。』



『なるほど…文字通り“女を喰う”のか…。』




『やっぱり血を吸われるって事?』




シンディがクリスにそう聞くと、『正確には違う。』と首を振った。




『一般的な血を吸うバンパイアは“ヴコドラク”だ。“クドラク”の場合は精気を吸い取る。』




クリスが言うには血を吸うと言う行為は“ヴコドラク”の捕食らしい。



だが、血だけで活力を得るには一晩に何人も襲わなくてはいけない。



“クドラク”の場合はより高度な捕食方法で効率良く活力を得るらしい。




『今回の被害者は極端に少ない。つまり“ヴコドラク”は居ない。“クドラク”が黒幕って事だ。』




昔、自分の集落が壊滅したのは“ヴコドラク”も居た為だとクリスは語った。