◇◇◇◇◇◇◇◇
右京とクリスがP2に戻ると、アランは眼鏡の奥の瞳を細めて満面の笑みを浮かべた。
『まるでショーの様だったよ。』
『クリスのお陰だ。』
『“クルースニク”がこれほどとは…恐れ入ったよ。』
そう言うアランにクリスはちょっと口角を上げた。
『俺は右京に驚いた。まさか、あそこまでやれると思わなかった。』
そう言ってロイとモニターを覗き込んで居る右京をチラッと見た。
『彼は元熾天使だ。色々あってあの姿だが、相当な事がない限り問題ない。』
『…右京が…熾天使…?』
俄に信じがたい事実にクリスは言葉を失った。
─あれが熾天使…?
クリスはそれは違うと内心思った。
人の姿をしたストリゴイの首を躊躇う事なく跳ねた右京を思い出す。
紅い右目を細めて返り血を舐める彼は“悪魔”と言う言葉の方が余程シックリ来る。
だが、普段の彼は誰からも好かれる好青年だ。
『不思議なヤツだ…。』
『興味あるだろ?俺もだよ。』
アランはクリスにそう微笑んだ。

