ユーリは躊躇いがちに口を開いた。
『…昨日一瞬、ウキョウの表情が違ったんだ…
…上手く言えないけど、あれが本来の彼の顔なんだと思う。』
『…ここでは本当の自分を出してないって事?』
『そうじゃない。ウキョウは自分を作る様な、そんな奴じゃない。』
『…わかんない。…兄さんの言ってる事が理解出来ないよ!』
そう言うミーシャにユーリは溜め息を着いた。
『なら、ミーシャはウキョウに記憶を取り戻して欲しくないのか?』
『それは…!』
『俺はウキョウに記憶を取り戻して欲しい。
彼は無くした記憶のせいで苦しんでる。
だから俺はそれに手を貸すよ。』
『!?…私だって…そうしたい…でも…』
そんな事したら明日にでも旅立ってしまうかもしれない…
自分の気持ちも伝えられないままサヨナラなんて嫌だ。
ユーリはミーシャの気持ちを察したように優しく微笑んだ。
『お前の男を見る目は間違ってない。
もし気持ちを伝えたいなら伝えればいい。』
予想外なユーリの言葉にミーシャは驚いた様に顔を上げた。
『でも彼はお前を受け入れないよ。
アイツには強く想ってる人が居る。それに…』
『それに…?』
ミーシャは兄の次の言葉を待った。

