とある堕天使のモノガタリⅢ ~ARCADIA~





ユーリは躊躇いがちに口を開いた。



『…昨日一瞬、ウキョウの表情が違ったんだ…
…上手く言えないけど、あれが本来の彼の顔なんだと思う。』


『…ここでは本当の自分を出してないって事?』


『そうじゃない。ウキョウは自分を作る様な、そんな奴じゃない。』


『…わかんない。…兄さんの言ってる事が理解出来ないよ!』



そう言うミーシャにユーリは溜め息を着いた。



『なら、ミーシャはウキョウに記憶を取り戻して欲しくないのか?』



『それは…!』



『俺はウキョウに記憶を取り戻して欲しい。
彼は無くした記憶のせいで苦しんでる。

だから俺はそれに手を貸すよ。』


『!?…私だって…そうしたい…でも…』



そんな事したら明日にでも旅立ってしまうかもしれない…



自分の気持ちも伝えられないままサヨナラなんて嫌だ。



ユーリはミーシャの気持ちを察したように優しく微笑んだ。



『お前の男を見る目は間違ってない。
もし気持ちを伝えたいなら伝えればいい。』



予想外なユーリの言葉にミーシャは驚いた様に顔を上げた。



『でも彼はお前を受け入れないよ。

アイツには強く想ってる人が居る。それに…』


『それに…?』




ミーシャは兄の次の言葉を待った。