『クリス。お前の秘密を知っといて俺の秘密を明かさないのは意に反する。』
右京はそう言うと手の平を上に向けた。
発光する球体を出現させると右京は口角を上げた。
『…エスパーか…?』
『正確には違う。…俺は元々ここの住人じゃない。』
右京はTシャツを脱ぎながら『信じる信じないは勝手だが…』と付け加えた。
クリスに背中の傷を見せた。
『証明する手段がないんだ。もがれちゃってね…』
『…酷い傷だな…これで生きてたってのも不思議だ。』
『…一度“死んだ”のかもしれない。』
『もしそうなら、お前は生かされてる事になる。』
─生かされてる…?
『…ならば俺は右京を殺す訳にはいかない。』
クリスは小さく『信じるよ』と言った。
『で…コレ、俺に使えと?』
『剣術が出来るってアランから聞いた。…使えるだろ?』
『多分…』
木刀しか使った事がない右京にとって真剣は酷く重く感じた。
『本当はマグナムの方が接近しないで済むから安全なんだが…』
『いや…こっちでいい。弾の無駄使いはしたくない。』
クリスは無表情のまま『それもそうだな』と答えた。

