とある堕天使のモノガタリⅢ ~ARCADIA~




クリスは右京に『ついてこい』と言うと一階の店の奥へと入って行った。




『ここに入るのは二度目だな…』



『…即ぶち抜かれないか不安だよ…』




右京がそう呟くとクリスが肩を震わせて笑った。



そこはクリスご自慢の武器庫だった。




『…また増えてないか?』



『最近物騒だからな…。』




…お前が一番物騒だ…




右京は綺麗に陳列された銃を見ながらそう思った。




『最初に言っておく。吸血鬼が厄介なのはアンデットだからだ。奴らを殺るなら頭を狙うか…』



クリスは徐にそこにあった日本刀を投げて寄越した。




『“首”を落とせ。』



『…サラッと言うな…』



『“ストリゴイ”は人の形をした化物だ。迷ったら殺られる。』



『ん~…それって俺と大差ないんじゃねぇか?』




クリスは一瞬面食らった様な顔をしたかと思うと、大口を開けて笑い出した。




…そんな面白い事言ったかな…?




『あ~悪い…。面白いヤツだな。お前はアンデットじゃない。…人間かどうかは敢えて聞かないがな。』



『ははっ…ソイツはありがたい。』




そう言ってから右京は“フェアじゃないな”と思った。